で、Mozuさんに教えてもらった論文。
経済協力開発機構がまとめたもの。
OECD 対日経済審査報告書2008 年版
Reforming the labour market to cope
with increasing dualism
and population ageing
製品市場の改革は労働市場の改革と並行して実施し、効率性と公平性を高めるべきである。
日本では労働市場の二極化が急速に進んでおり、非正規労働者の割合は1994 年の20%から2007
年には34%に上昇した。企業が臨時契約で働く非正規労働者の雇用を増やして柔軟な雇用シス
テムを構築し、結果として非正規労働者の比率は上昇している。非正規労働者の賃金は相対的に
低く、非正規労働者の3/4 を占めるパートタイム労働者の時間当たり賃金はフルタイム労働者の
わずか40%にとどまっている。さらに、一部の社会保険制度からも除外されている。二極化の
進展により、労働経験が短く、日本で重要な役割を果たしている企業内訓練が受けられないため
に能力を高める機会に恵まれない人々が若年層を中心に増えている。正規労働者と非正規労働者
の賃金格差は生産性の差をはるかに上回っているため、公平性の面でも深刻な問題を提示してい
る。両者の間に移動がなく、非正規労働者の大半が低賃金労働から抜け出せない状況がさらに問
題を難しくしている。こうした労働市場の二極化を反転させるには、柔軟性の高い正規雇用、臨
時雇用者に対する社会保険の適用拡大、研修プログラムの改善による非正規労働者の雇用可能性
の改善など、包括的なアプローチが必要とされる。
非正規労働者の2/3 以上を女性が占める現状を考えると、上述した労働市場の二極化傾向の
反転は魅力的な雇用機会の提供と労働契約の柔軟性向上によって女性の労働参加を後押しする可
能性がある。女性の労働参加率が上昇すれば、生産年齢人口の減少(2007 年からの10 年間で9%
10
の減少が見込まれている)による影響を緩和できるだろう。副次的稼ぎ手の就労意欲を削ぐ税
制・社会保障制度上の保護は早急に撤廃すべきである。また、民間部門が広く取り入れている配
偶者手当、年功序列型賃金制度、採用時の年齢制限なども女性の労働参加を阻む障害とみられる。
政府は、女性にフルタイムで働く意欲を失わせている税制や社会保障制度の項目を廃止するべき
である。女性のパートタイム労働者の比率は41%と、OECD 諸国の中では最も高い部類である。
女性の労働参加率と出生率の両方を高める意味で、保育施設の拡充は効果的であろう。最後に、
労働基準法の厳正な適用など、仕事と家庭生活のバランスを向上させる努力も女性の労働参加率
を押し上げるとみられる。
英文の方の記事をみると、どちらか、というと正規社員の方に傾いているような気がしないでもない。
悪い、というわけではない。ただ、正規労働者を増やすとフランスのように失業率があがる、という記事を読んだ覚えがある。
労働者の権利、労働者の流動性の確保、社会全体の経済発展などのバランスの問題だろう。
おれのアホの頭ではなかなか整理がつかないが、頭のいい人たちが活発に議論してうまくやってもらいたいものだ。
いずれによせ、セーフティーネットの拡充、男女子育てしながら働ける環境の創造・充実は必須であろう。