2009年1月29日木曜日

アパルトヘイト

 
Police Investigate Segregationist Signs at Kennesaw State
January 14, 2009 05:03 PM ET | Alison Go | Permanent Link | Print
Police at Kennesaw State University have no suspects as they investigate two signs placed over Student Center water fountains last month, one that read "whites only" and the other, "blacks only," the Sentinel reports. Discovered on December 9, "the signs bring to mind a painful and oppressive time in our nation's history," said the director of student life. "The person who posted these signs either doesn't know and understand the serious nature of this history or knows and is subjectively and [secretively] expressing contempt for it."
usnews.com

 これ以前紹介したかもしれませんけど、アメリカの学校の水飲み場で、白人専用、黒人専用、と書かれた落書きがあった。で、こうしたことは痛ましい記憶を蘇らせる、というわけです。
 
 人種差別というのはいわば迷信に基づいた、直接間接の不当な弾圧ですけど、しかし、我々日本人も、これは甘くみてはいけない。憎しみの連鎖というか、スパイラルというのは社会に異常な亀裂をもたらすわけです。

 
 痛ましい記憶というのは、例えば、学校に限っていうと、写真は1957年で白人専用の学校に入学を許可された黒人が軍隊に保護されて登校したときのものですが、この白人女性の憎悪と侮蔑の顔つきを見て下さい。

 随分昔の話だ、と思う人がいるかもしれませんけど、おじさん、おばさんにとってはつい最近のことです。

で、こうした学校における人種差別はいまでも横行している。アフリカ系アメリカ人の蔑称を用いて、おまいらは、首つって死ね、などという落書きが学校にある。WFMY News 2 - Racism in School(ビデオ)

 こっちはその歴史を扱ったビデオですが、白人が涼む木陰に黒人が行ったら、その木に首をつるロープがかけられた最近ーー数年前のーーー事件など紹介しています。

 あの写真の白人女性の憎悪と蔑視がいまでも一部には続いている。

 で、こうした憎悪と蔑視の目で有色人たる日本人も一部の欧米人から見られている。

 欧米の黒人さんのなかにはそうしたヒエラルキーを無意識に身につけてしまって、自分の肌の色を憎むとともに、一部の欧米優越意識が乗り移ってしまって、日本人を蔑視している、と思えるひともいなくはない。

 
 在日の欧米人の中にも、残念ながらあの写真の白人女性と同じ意識を持っていると思わざる得ない態度をとる人がいないとは言えない。インテリや海外特派員の中にもいます。


 いや、日本人の中には欧米のこうした感覚に迎合してしまった欧米的中心主義的なレンズから日本を眺めて欧米のポチのようになっている西洋かぶれもいる。


 もっとも、こうしたことを乗り越えて平等意識をもっている人も沢山いる。

 そして、こうした歴史があるからこそ、欧米人のなかには無実な表現に対して過剰反応を起こしたりすることもある。
 

 われわれも人種問題を軽くみてはいけない。
 過剰反応するのも可笑しいが、繊細な問題だけに繊細にあつかっていかなくてはいけない。


 例えば、学校で言えば、

 肌の色や、顔の彫りなどが違う人をからかうのはくない。

 おまえ日本人じゃないだろう、とか、やああい、外国人!、外人! ○○人!なんていうのも相手の心を傷つける。

 そうしたことは周囲の大人たちが気をつけてあげなくてはいけない。


 くだらない迷信やちょっとしたからかいから憎しみの連鎖を増長させないとはかぎらない。決して甘くみてはいけない。

 とはいえ、ちょっとした優しさと配慮さえあれば、こうした問題はうまくいくんではないか、と思う。


 まずは問題意識を高めていくことが重要だと思う。

 外国出身の親を持つタレントの人が、さらっと「ガキのころって、すげええ、傷つくんだよなあああ」とか、いう場面がある番組なんかも作ってもらえればいいと思う。

 もっとも、欧米人の肌の色や人種に関する階層意識やその否定の歴史を輸入する必要はない。

 日本人が欧米に行ったり、欧米にメッセージを送るときは、もちろんそうしたことを知り、かつ配慮する必要がある。そうしたことを知ろうせず、配慮もしなければ、無知で、文化的配慮に欠けると非難されるのは、それらの国で、あるいは国へ、メッセージを送る側です。

 が、しかし、欧米人が日本に来たら、日本人は彼等とは違った価値評価・概念枠組みをもっているのだというを彼等が知って、それを尊重し、それを前提に話しをすすめていくのが筋でしょう。後者の場合、知る負担は来日外国人の側にあります。 
 自国における肌の色にまつわる階層意識や問題意識が日本でも同じように通用し、それを日本人も受け入れなければならない、と考えること自体が横暴です。この場合、無知で文化的配慮が欠けると非難されるべきは、来日外国人の側です。

 
 このように同じ人種問題といっても十把一絡げに扱うわけにはいかないが、こうした海外における人種間の問題をみて、われわれも多いに反省し、学ぶ点は大きいと思います。