2009年4月24日金曜日

裁判員制度

Juries return to Japanese courts after 66 years

But 99.5 per cent conviction rate may take time to alter

By Paul Rodgers and Kyoko Nishimoto

Sunday, 19 April 2009




日本の裁判員制度についてである。kyoko nishimotoって日本人だろうか?
これがまた、メチャクチャな記事。

Oral testimony is rare, and cross-examination all but unheard of. Trials not only lack drama, they give defendants little hope.

 口頭の証言がほとんどなく、交互尋問もまれ、被告人にほとんど希望なし、と。
統計がないからわからないが、普通に新聞やテレビドラマ見ていれば、こういう発言はでてこないわなあ。
、産経で法廷ライブというのが、あるが、この記録みても、例えば、セレブ妻バラバラ 証人出廷(7)検察・弁護人・ 証人などで、証人について交互に尋問しているわなあ。被告人についても同様である。
で、
現状のシステムでは

The potential for unsafe convictions under the existing system is huge.

冤罪の可能性がめちゃくちゃ高い、と
Suspects can be interrogated for 23 days, without counsel, before they're charged.

容疑者は起訴される前に弁護士なしで、23日にもわたって尋問されることがある、と。
間違いではないが、can be というのがくせ者で、弁護士と接見することはできるわけだ。オウムの麻原のときでも怪しげな弁護士が接見してたのみなかったのかな?
また、起訴前の勾留の期間などについて各国との比較は以前投稿した。無期限の場合もある。

Witnesses are interviewed by police and prosecutors, but not necessarily the defence.

 証人は、警察や検察が面会するが必ずしも弁護側が面会するわけではない、まあ、これはそうだろうな。

Evidence dug up by the authorities that could help the accused is often kept secret.

 被告人に有利な証拠は検察が秘かにためこんでいる、と。検面調書のすべてが開示されるわけではないのはその通りであろうが、場合によっては開示命令も出せるわけだ。ところで、被告人に有利な証拠を隠し持っている、って調査結果でもあったのか? 未だ想像の域をでないだろう?

More than 80 per cent of cases rely on a full confession.

80%以上の事案は自白に依っている、と。これもおかしいだろう。
自白があったのが全国で8割以上あったのかもしれんが、しかし、自白だけで、有罪にできないのは憲法の建前である。また、証拠や証人が固められて、有罪が明かなのに、量刑が重くなるとわかって否認する、ということはないだろう。


Old-school prosecutors insist that their success rate reflects how careful they are to bring only iron-clad cases to court.

 古い学派によると、有罪率が高いのは、厳格に絞られた事件だけが裁判所にもちこまれるからど、といわけだが、古い学派、という規定のしかたに著者の偏見がある。これにもいくつか説があって、その一つなわけだ。


"One of the concerns is that defence counsel co-operate [with prosecutors] in most cases," said Daniel Foote, professor of sociology and law at the University of Tokyo.

ほとんどの場合、弁護側は検察と協力しあっている、って、これは初耳だなあ。誰か知っている人あれば、教えて欲しい。協力しあっていれば、ひもで首しめたのをリボンをつけようとして、などという弁護がでてくるのか?
 もっとも、民事訴訟なんかで、原告の弁護士と被告の弁護士が裏で折り合いつけていることがある、という話は聞いたことがある。上記、口頭の証言がなくて、証言を文書によるものですませてしまう、というのは民事でも聞いたことがあるから、民事と混同しているのかな?



Japan's first experiment with citizen juries came in 1928, but their impact was limited. True, the conviction rate was a more reasonable 82 per cent.

陪審員制度は1928年にはじまったが、長続きしなかった、有罪率はもう少しまともで82%だった、と。
ここらへんいつもでてくるおかしな論理で有罪率が低ければ裁判がまともである、という論理がさっぱりわからん。じゃあ、裁判をまともにみせるのは、警察や検察がもっとずさんになって無罪になるケースが多ければいい、ということになる。

For liberal Britons, whose right to a jury trial was enshrined in Magna Carta, the need for 12 good men and true may seem obvious.


 リベラルなエゲレス人様にとって、陪審裁判を受ける権利はマグナカルタで保障されて、12人の誠実な善人の必要性は明かである、と。
 にもかかわらず、

 
In Britain, only 1% of criminal cases end up before juries, which rarely deal with inquests, either.
Britain is seeking to restrict juries even further
.
 エゲレス様は、陪審制が使われるのは1%にすぎず、陪審制の利用を制限しようとしているのかい?

 三権を国民の側からチェックするという立場からは、陪審制でも裁判員制度でもそれは評価できる。
 しかし、冤罪を本当に防いでいるかどうか、は、また別の話だろう。
 また、司法制度の不備についても別途考慮すべきである。
 例えば、強制自白や自白のねつ造は、どの国でもありえる。
 この点、取調室でのビデオ録画などは有効であろう。もっとも。米国の例でもわかるように、録画が開始される以前に、あるいは録画がストップされている間に、自白の強制やなんらかの不正がある場合もある。
 あるいは、
Although she is not carrying drugs and none are found in her home, the prosecution claims to have a witness.
Dee’s court-appointed lawyer urges her to take a plea bargain and agree to a 10-year suspended sentence with a small fine, rather than risk serving a 16- to 25-year prison term.
てな具合に、検察に証拠もっているぞ、といわれ、弁護士からは、敗訴するより、司法取引した方がいいといわれれば、無罪でもそっちに走る可能性は高いだろう。
 もちろん、これに類似したケースは日本の取り調べ室でもあり得る。ググると例えば、

平成17(わ)1572
事件名 強盗致傷
取調べにおける違法
裁判所 京都地方裁判所 第1刑事部
裁判年月日 平成18年11月15日
結果 却下
判示事項 警察官の脅迫、弁護人選任権行使の妨害及び利益誘導による取調べは、重大な違法がある上、被告人の黙秘権を著しく侵害しており、その結果作成された警察官調書と、上記違法な取調べの影響を遮断する措置が講じられることなく作成された検察官調書は、いずれもその任意性に疑いがあるとして、上記各供述調書の取調べ請求が却下された事例


てな具合。


まあ、結論から言えば、日本の司法改革からすれば、
1)取調室の可視化
あと、あえていえば、
2)弁護人による証拠開示の権限の強化
で、裁判員制度について英米の実務からすれば、すべての刑事裁判を裁判員制にするのではなく、選択肢として、被告人に裁判員を加えた裁判を受ける権利を保障すれば、いいのではないか、とも思う。

なお、この記事に関して、Japan Probeで、LBさんが適切な批判をしてくれている。